大分県で最も古い餅菓子とされるのが「浜の市名物志きし餅」です。
目次
しきし餅歴史
浜の市名物志きし餅の由来
毎年9月の柞原八幡宮の放生会を機として生石の浜で開かれる「浜の市」は府内城下商工業の発展に寄与していました。「浜の市」の期間中は府内の城下では営業禁止でしたので、城下の商店を営んでいた人たちは、「浜の市」に小屋を出して商売をしました。そこには、遠方の人も商売に来るので、「浜の市」はずいぶんとにぎわっていました。
「浜の市」という名も、当時の府内城主であった日根野吉明公という人物がつけたものでした。
「浜の市」で商売をする人々の業種としては、海産物、農機具、農産物、衣料、団子屋等でした。
時代の移り変わりによって、「浜の市」で商売をする人々の職種も変わり、明治初期ほどから「浜の市名物志きし餅」から売出されました。今でも名残が残っていますが、「浜の市名物志きし餅」の形はその当時の藩主の座布団の模様をかたちどったものです。
しきし餅の写真です。
小ぶりで四角く、中央に赤い点が一つ。座布団をイメージしたものというのがお分かりいただけると思います。
購入できるのは「菓子処 かとう」のみ
現在、「しきし餅」を購入できるのは「菓子処 かとう」のみとなっています。
2016年までは、ぼくのブログで「どら焼き」を絶賛した「クランベリーアトベ」でも浜の市の時期には購入出来ました。現在では販売していませんし、今後も販売することはないとのことです。
なぜだろう?と思いましたが、「菓子処 かとう」のしきし餅のパッケージで、おそらくですが、謎が解けました。
どういうことか?
キーワードは「商標登録」です。
「菓子処 かとう」の「しきし餅」の包み紙に「商標登録 第4354015号」と表記されています。
商標登録とは?
特許庁へ商標登録出願(申請)をした後、登録要件を満たしているか否かの審査をされます。無事に商標原簿へ商標権の設定登録をされることで、商標権が発生します。
商標権とは
商標法で定められた使用権です。
商標の使用をする者が商標を登録することで得ることができる独占的な使用権のことです。
商標権は、特許庁に出願し審査を通過して登録されれば、指定商品または指定役務の範囲において、独占排他的に権利者だけが使用できる、とても強い権利です!
特徴を箇条書きにします。
- 商標権は、同一商標だけではなく、類似商標にまで権利範囲が及びます。
- 商標権は、異なる営業地域であっても、全国的に権利範囲が及びます。
- 商標権は、更新することによって、半永久的に保持することができる権利です。
- 商標権は、故意・過失を問わず(知らなくても)、侵害が許されない権利です。
- 商標権は、早いもの勝ちの権利です。
※日本では、先使用主義ではなく、先願主義が採用されています。
商標登録のメリット
そして、それでも商標の使用を続けている人がいれば、損害賠償を請求することも可能です。
また、逆に考えると商標登録をしていることで、他人からその商標の使用の差し止め請求を受けたり、損害賠償請求をされたりということが無くなります。
メリットを箇条書きにします。
- 商標登録すれば、その商標は自社だけが独占的に使用できます。
- 他社はその同一の商標だけでなく、よく似た商標も使用できなくなります。
- 「登録商標マーク ®」(registered trademark)を付することにより、お客様への信用力アップにつながり、他社に対する牽制になります。
- 商標権のライセンスができます。(商標権は財産です)
- 商標権は更新することで、半永久的な権利として守られます。
- 商標の使用差し止め、および損害賠償請求ができます。
製造販売が「菓子処 かとう」1店のみの理由
おそらく、お分かりですよね。
「菓子処 かとう」が「しきし餅」の商標権を持つために、他のお店では勝手に製造販売することができません。世知辛い世の中です。
とはいっても「菓子処 かとう」が悪いわけではないです。権利ですし、ビジネスですからね。要はブランド化しただけの話です。しかもこれはあくまでぼくの憶測ですしね・・・(笑)
「菓子処 かとう」の店内です。「しきし餅」以外にも和菓子があります。
しきし餅の味
「しきし餅」の主な原料は「もち米」ではなく「うるち米」です。
「うるち米」とは?
コシヒカリやあきたこまちなど一般のお米のことです。「白ご飯用の米」ですね。
うるち米ともち米の違いは?
この2つの大きな違いは、お米に含まれるデンプンの成分の違いです。デンプンはアミロペクチンとアミロースの2種類が存在します。
アミロペクチンは水に溶けないデンプンで、アミロースは水に溶けるデンプンです。うるち米に含まれるデンプンの多くはアミロペクチンですが、アミロースも20%ほど含まれます。
一方のもち米にはアミロースがほとんど含まれず、多くがアミロペクチンです。
アミロペクチンは多いほど食感はもちもちします。
なので「うるち米」で作った餅は
- 粘り気がない
- 伸びない
- 水分が少ない
という特徴があります。
実際に食べてみました。
8こ入りで800円(税込み)です。
「よもぎ」(つぶあん)、と「通常」(こしあん)があります。
「うるち米」の餅ですが、もちもちしています。あんこの甘さも丁度良く美味しいです。また形も四角なので、みなさんが良く食べたことのある「あんこ餅」とは少し違います。面白い餅です。
消費期限は1日です。ちょっとした手土産にオススメです。大分の「歴史の味」を是非味わってみてください。
所在地:〒870-0001 大分県大分市生石港町 かんたんバス停前
時間:9:00~16:30 不定休
電話: 097-538-4701